箱根太陽山荘
箱根 太陽山荘 大規模な耐震改修工事から、8年を掛けての部分改修
足掛け3年を掛けた、大規模な耐震改修および防災工事を2008年1月に工事を終え、改修しきれなかった部分を徐々に直し、温泉Café太陽が完成するまでの8年間、少しずつきれいに改修工事をしてきました。古い部分の良さと新しい機能を併せ持った、日本の本来の良さを持つ、掃除が隅々まで行き届いた美しさのある旅館です。
箱根 太陽山荘
概要
箱根強羅温泉 国民宿舎 箱根太陽山荘 耐震補強改修工事
神奈川県 足柄下郡 箱根町 強羅1320 TEL0460-82-3388 FAX0460-82-5968
当初建設年 1940年(昭和15年)〜 登録有形文化財 2007年登録
設計・工事監理 一級建築士事務所 アトリエ結 高島ゆかり
調査アドバイス 一級建築士事務所 長谷川敬アトリエ 長谷川敬
調査協力 清水建築設計事務所 清水利至
構造設計アドバイス 山辺構造設計事務所 山辺豊彦 鈴木竜子
耐震プログラム設計 滝一級構造研究室 滝 英規 加藤雅之
施工 株式会社 富創 + E-HOUSE 望月永一
太陽山荘は、昭和15年に新宿警察庁の保険療養所として建設され、一時はドイツ領事館の疎開事務所として貸していたが、昭和22年から「和香荘太陽旅館」、昭和44年からは民間の国民宿舎として営業してきた。
■建築の価値を評価し、活かす。
廊下・階段室にみられる露地風の意匠、客室の床の間まわりの多彩な意匠、眺望を重視した客室の配置と平面計画。これらの建築の価値をしっかり評価し、活かすことをめざした。
■構造耐力の欠陥を克服する。
度重なる増改築の結果、柱が抜かれ、針が切断され、新しく入れた柱や梁も、次の改修には生かされていないことが判明。増改築のたびに、構造耐力は低下していった。耐震精密診断では、上部評点(保有耐力/必要耐力)が「0.03」となった。全ての部屋の宿泊客の安全を確保するため、建物全体を耐震化して「1.0」とすることを主眼とした。さらに、構造計算では評価しにくい、床面の水平効力を高め、小屋組に関しても、雲筋交や火打梁等を入れ直し、できる限り、構造耐力を高めていった。
■建築の価値を活かし、「伝える」
施主家族の、建物への誇りからうまれていた、磨きこまれた木造建築の価値とその想いを評価した。先人の大工の木に対する洞察力と、それを活かした職人技術の粋を、今の職人に伝えた。構造的にも防災上も、難易度の高い工事だったが、宿泊客に安心と安全をあたえ、今まで通りに建物の歴史を感じ、今まで以上の安らぎを与える旅館とした。
市井の中にある、古い建物の多くは、時代の変化に対応しながら増改築を繰り返してきた建物が多い。また施主が、建物を愛し、そこにあるまちを愛しているからこそ、今まで壊さずに。大切に住み続けてきた。建築家は、その建物について、まずはすべての現実を読みとることからはじめなくてはならない。その時に、多くの場合は、施主家族とのぶつかり合いもあるだろうし、各役所から様々な難題を求められることもあるだろう。また、不透明な部分が多い改修工事では、工事側によき協力者が必要になるだろう。そして私たち建築家自身が、その建築を見つめ、我々が本当にその建築に対して、まちに対して、施主に対して何をなすべきかを考えなくてはならない。
神奈川県 足柄下郡 箱根町 強羅1320 TEL0460-82-3388 FAX0460-82-5968
当初建設年 1940年(昭和15年)〜 登録有形文化財 2007年登録
設計・工事監理 一級建築士事務所 アトリエ結 高島ゆかり
調査アドバイス 一級建築士事務所 長谷川敬アトリエ 長谷川敬
調査協力 清水建築設計事務所 清水利至
構造設計アドバイス 山辺構造設計事務所 山辺豊彦 鈴木竜子
耐震プログラム設計 滝一級構造研究室 滝 英規 加藤雅之
施工 株式会社 富創 + E-HOUSE 望月永一
太陽山荘は、昭和15年に新宿警察庁の保険療養所として建設され、一時はドイツ領事館の疎開事務所として貸していたが、昭和22年から「和香荘太陽旅館」、昭和44年からは民間の国民宿舎として営業してきた。
■建築の価値を評価し、活かす。
廊下・階段室にみられる露地風の意匠、客室の床の間まわりの多彩な意匠、眺望を重視した客室の配置と平面計画。これらの建築の価値をしっかり評価し、活かすことをめざした。
■構造耐力の欠陥を克服する。
度重なる増改築の結果、柱が抜かれ、針が切断され、新しく入れた柱や梁も、次の改修には生かされていないことが判明。増改築のたびに、構造耐力は低下していった。耐震精密診断では、上部評点(保有耐力/必要耐力)が「0.03」となった。全ての部屋の宿泊客の安全を確保するため、建物全体を耐震化して「1.0」とすることを主眼とした。さらに、構造計算では評価しにくい、床面の水平効力を高め、小屋組に関しても、雲筋交や火打梁等を入れ直し、できる限り、構造耐力を高めていった。
■建築の価値を活かし、「伝える」
施主家族の、建物への誇りからうまれていた、磨きこまれた木造建築の価値とその想いを評価した。先人の大工の木に対する洞察力と、それを活かした職人技術の粋を、今の職人に伝えた。構造的にも防災上も、難易度の高い工事だったが、宿泊客に安心と安全をあたえ、今まで通りに建物の歴史を感じ、今まで以上の安らぎを与える旅館とした。
市井の中にある、古い建物の多くは、時代の変化に対応しながら増改築を繰り返してきた建物が多い。また施主が、建物を愛し、そこにあるまちを愛しているからこそ、今まで壊さずに。大切に住み続けてきた。建築家は、その建物について、まずはすべての現実を読みとることからはじめなくてはならない。その時に、多くの場合は、施主家族とのぶつかり合いもあるだろうし、各役所から様々な難題を求められることもあるだろう。また、不透明な部分が多い改修工事では、工事側によき協力者が必要になるだろう。そして私たち建築家自身が、その建築を見つめ、我々が本当にその建築に対して、まちに対して、施主に対して何をなすべきかを考えなくてはならない。
登録文化財の耐震改修工事
登録文化財の耐震改修工事・・「伝える」と (2010-01-04 ・ 169KB) |
耐震改修前・改修後 地震時の被害想定時シ (2010-01-04 ・ 593KB) |
外観 (2010-01-04 ・ 886KB) |
玄関 (2010-01-04 ・ 660KB) |
待合 (2010-01-04 ・ 541KB) |
本館客室・洋室 (2010-01-04 ・ 590KB) |
本館客室・和室 (2010-01-04 ・ 693KB) |
別館 (2010-01-04 ・ 827KB) |