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設計委託

設計事務所への設計委託の薦め

これから家を建てたい方に、なかなか理解されにくい設計事務所と設計料、金額について、事例を交えながら説明したいと思います。
家を建てる時に、多くの方は、?地元の大工さんや工務店に依頼する。?ハウスメーカーに依頼する。 その二択が多いと思います。
?として、設計事務所に設計を依頼する。という発想にはなかなか行き着かないようです。

 まずは?のハウスメーカーは、デザインがよく、モデルルームもあるので解りやすい。大手なので安心できるという点で選ばれる方が多いと思います。しかし、打ち合わせの多くは、家の技術を知らない営業マンが多く、自分達の希望を話していくと、建築工事費が車と同じようにオプションになりやすく、結果、予算が膨らむことが多いと、言われています。

?一昔前の大工さんや工務店は、安心できるが、デザインが悪いケースが多かったですが、今は設計施工の工務店もデザイン住宅をつくることが多く、内容が改善されてきています。
それならば、敢えて設計事務所に設計料を支払ってまでお願いする必要はないと思われる方が多いと推測します。
設計事務所に家の設計を委託するのは、お金持ちの方か、特殊建築のみと、思われがちです。

 
これは手前味噌な話ではないですが、私は大学を卒業して20年以上の長い間、一年も切れることなく、住宅建築の設計に携わってきました。東京の設計事務所で働いたいた時も、静岡の設計施工の会社の設計にいた時も、独立した後も、毎回、新しい物件に携わるたびに思うのですが、ローコストの家であっても、どのような建築であっても、改修であっても、設計事務所が設計として独立した形で関わった家は「お徳」だと感じるのです。
お徳とは、建築の表面的な質、本質的な質、建築金額のバランスを冷静に客観視して考えた場合の「お徳」です。

 設計事務所は、たくさんプランを知っていながらも、その場所、その家族にあった設計を、何ヶ月も掛けてプランを施主とつくりあげていきます。
施主も住まい手として、自分たち家族がどの様に毎日を生活していくのか、今の生活とこれからの希望、未来に向かって考えていきます。
設計者も、施主の物理的な希望を叶えるのはもちろんこと、建築家として、その建築の本質的な要求が何かを何度も自問自答し続けます。
材料、一つ一つにおいても同じです。建築材料にも構造にも室内環境にも、完璧なことなどはないのです。全てのバランスを考え、建築の知識の浅い施主にも解るように、まるでレントゲン写真のように内部の一つ一つの素材が何で作られているのが解るように図面を何枚も書き上げてきます。
家は単なる買い物ではなく、「つくる」ことなので、本来はオプションは存在はしないはずなのです。

工事業者の選択も設計者の仕事です。
例えば、同じ木造住宅でも、施主の要望・設計者のその家の設計主旨により、その工事に得意な工務店は変わってきます。

工事金額の検討においても、設計施工ならば安くできると思うですが、これは意外に難しいのです。
逆に設計者が工事を自分でしようと思っても、工事金額は不思議に高くなる傾向にあります。

理由は、それぞれの仕事が分離できていた方が、お互い立場を厳しい位置におけるのです。
これが全て自分で調整できることですと、人間はどこかで欲が出てしまい、ここは儲けたいとか、金額的な安全を求めたいと思ってしまうのです。

何社から相見積を取ると、その性格は顕著に表れます。

下記は最近(2010.06.23)に出た、見積の金額です。
4社同時に現地に集合して頂き、同じ図面を渡し、説明を聞いてもらい、後日の工事から質疑に関しても、全ての業者に同じ情報を流し、公平性を持って相見積に望みました。
少し高めの2社は、私が設計者として物価本などを参照に判断しての適正金額です。
金額の差がありすぎる残りの2社が、手抜き工事で、品質がよくないかと言えば、そのようなことはないのです。

何故、そんなに違うかと尋ねられて、私が答えられるのは、この物件の工事内容がが得意であること。
それよりも大きいことは、「この家を自分達の手で、工事したいと思わせるあること。」大きな金額の差が出てくる要因です。つまりは、魅力的な設計をしていることなのです。
誰もが、「仕事」を「ボランティア」だと思っていません。利益を上げ、末永く続けていきたいと願うでしょう。
末永く続けていくための力を養うために、この工事に挑戦してみたいと思わせる力を、設計者は日々努力して、考え続けていかなくてはならないと思っています。


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